出だしやタイトルから最初に予想するのは胸糞系。

　ひどい目に可哀想な人を眺めて気分悪くなるのを楽しむタイプの作品だと思う人が多いと思う。

　じっさいはまったく違って、むしろ熱い友情からの覚醒という少年漫画の王道の要素がある。

　最初の1，2巻からは想像できないがほんとうにそういう展開になる。

　そしてそれを自然なこととして読者に受け入れさせる作者の剛腕を楽しむのがこの作品の人気を高めていっている。

　じっさいに連載しているマガジンポケットのコメント欄の盛り上がりとその雰囲気をうまく組み込んで作品を仕上げているようだ。

　そのコメントの雰囲気をつかむのがものすごく上手い。

　媚びるわけでも、へんに捻るわけでもなく、王道をつらぬいて期待に応えるのと読者を裏切るのがとても上手い。

　冷静に考えたら主人公のイジメることを強要されている中島はとてもかわいそうなのだが、なぜかコメディパートをはさめられると「まあそんなもんか」と違和感がどうでもよくなる。

　じっさいにイジメに関わったことがありとてもフィクションでも見たくないという人もいると思う。

　キャッチーなでだしだけで中身が無いんだろとは思わないで欲しい。

　ぜひ、読者の心理を手玉に取って作品を成長させていく作者の力技をくらってほしい。

　コメディチックな絵柄だが決めゴマでは読者の時間を一瞬止めるほどの迫力がある。

　実は絵の見せ方にも抜群の才能がある作者だと思う。