ヴェールドマン仮説 西尾維新

2022年10月5日水曜日

西尾維新

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おすすめ小説ヴェールドマン仮説 西尾維新

 西尾維新さんの作品をちゃんと読んだのはこれが初めて。
 漫画の原作もされていてそれを読んだことはちらほらあったので、メタ視点が好きな作家という印象があった。

 ネットの評判を見るに好き嫌いが分かれる作風なんだろう。

感想


 じっさいに読んでみて、やっぱり好き嫌いが分かれる作風だと確信。
 今回は、そこまではまれなかった。
 この本が100作品目だそうなので、他の99冊をもう少し読み進めたらコツがつかめるかもしれないけど今のところは相性が難しかった。

 作風としては、設定から作っているというか、設定が大前提になっている気がする。
 主人公以外の家族は警察官や検察官や弁護士など事件に関わるのが前提の仕事についている。
 主人公だけが無職で家事手伝いに専念している。
 そんな主人公が事件に関わり、家族の協力もありながら事件の謎に迫っていくというストーリー。

 設定前提の作風という印象だが、キャラクター達には性格も行動もすべて設定通りに動くという決まりがある。
 そして会話やワンシーン毎が漫画の決め台詞のシーンにいつでもはめれるように続いていく。
 なので設定やシーンを飲み込むには、漫画的な要素ってこういうのがあるよね、もちろん知ってます、それをひねってこうしました。という作者とのやり取りが自然にできる必要がある。
 こういうシーンよくあるよね、という作者からの問いかけに、すいませんそういうの詳しくないんです、となってしまっては話が合わない。
 作者はメタ的な作りが好きなのか、小説、漫画、アニメ、映画がものすごく好きなんだろう。
 いろんな好きな作品の要素を分解して集めたものを再構成して新しい作品に生まれ変われせているのかなと思う。
 パロディとかオマージュとも違う、新作だけど、いうなれば二次創作ともいえるような要素を感じる。
 たぶんいろんな作品への愛が止まない人なんだろう。

 なのでセリフ回しや主人公のモノローグは現実感が排除されている。
 どこかのスタイリッシュな漫画やアニメにいつでもはまれるような人物として描かれる。
 死体を見つけて驚きもせずに買い物に向かったり、首吊り死体を見つけてもまったくあわてず警察や救急車への連絡をせずに写真を撮りだす、むしろ死体に驚いて慌てふためくのが恥であり、まったく動揺しないメンタルが主人公の必須条件といわんばかりだ。

 そういうかっこいいライトな狂気を感じたい人にはおすすめの作風だと思う。



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